ソムリエの
お話し
SOMMELIER


02 白ワインの酸味は好きですか?

お客様によく、「酸味の少ない白ワインをください」と言われます。

ワインの酸味、苦手と感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?

でもこの酸味こそが、ワインの味わいの中でとても大切な要素なんです。

なぜって白ワインは、甘みと酸味のバランスの飲み物だから(赤ワインはこれに渋みの要素が加わります)。このバランスが取れた時に、私たちは「美味しい!!」と感じるのです。ですから、残糖が多かったり、果実味が豊かだったり、アルコール度数が高かったり(アルコールは甘みを感じさせるので)する場合には、それとバランスを取ってくれるだけの酸のボリュームが必要になります。

私たち人間の体形に例えると分かりやすいかもしれません。酸味を骨格とし、果実味・甘みを肉付きとします。現代ではスリムな体形に憧れる傾向にありますが、本当の美しさとは健康的な美しさであり、何かが突出することではなく、しっかりした骨格に、程よい筋肉と脂肪がバランスよくつき引き締まっていることだと思います。

良質の酸がしっかりと存在することは、良いワインの条件でもあり、味わいの骨格と長い余韻をもたらしてくれます。ワインのキラキラとした輝きは酸度の高さを表すものですし、ワインを長期熟成させる際にも酸が必要です。

食事と一緒に楽しむ際にも、酸は有効です。例えば牡蠣などの貝類を食べるときには、素材の旨味を引き立ててくれますし、食中毒予防にもなります。揚げ物のような油分を多く含むもの、またはバターやチーズなどの脂肪分、脂分の多いお肉を食べるときには、その油分・脂分を中和し、口中をリフレッシュさせ、最後まで食事を美味しく楽しいものにしてくれます。ワイン単体では酸っぱいと感じたとしても、食事と合わせてみると案外気にならないことも多いものです。

ワインの醸造方法という視点からいうと、マロラクティック発酵(乳酸発酵)がされているワインでしたら、酸味が比較的穏やかに感じられるでしょう。

マロラクティック発酵とは、ワインの中に含まれるリンゴ酸が乳酸菌の働きで乳酸に変化する発酵です。リンゴ酸は青リンゴを齧った時に、舌の両サイドの奥の方がキュッとなるような酸味で、乳酸はヨーグルトのようなまろやかな酸味です。同じ酸量で比較した場合、乳酸のほうが酸味が穏やかに感じられますし、マロラクティック発酵は酒質に複雑性を増し豊潤な香味を生み、微生物による変化を抑え安定させることができます。

このマロラクティック発酵は、若いヴィンテージでフレッシュさを楽しむ白ワインにはされないことが多いです。逆に温暖な産地の白ワインも、酸を最大限残すためにされなかったりします。ただこの場合、果実味が十分にあるので、決して酸っぱいとは感じないでしょう。ブドウ品種でいうとリースリングは基本マロラクティック発酵をしません。

その多くをマロラクティック発酵するブドウ品種といえば、樽発酵や樽熟成をされるようなシャルドネです。

ちなみに赤ワインはほとんどマロラクティック発酵されます。ただし例外はヴォージョレ・ヌーヴォー。フレッシュさを楽しむ早飲みワインですからね。

ワインの酸味を理解し上手く付き合えば、ワインライフがもっともっと楽しくなりますよ。