ソムリエの
お話し
SOMMELIER


09 グレートヴィンテージのワインは美味しい?

ワインはブドウを発酵させて造られるお酒です。
ですからワインの味わいは、その原料ブドウの状態に大きく左右されます。
ブドウは農産物。温暖で日照に恵まれた年にはブドウはよく熟し、結果、濃い色合いの、香り・味わいともにしっかりとしたワインとなります。
反対に、雨がちで冷涼な年には、色もやや明るめで軽やかな味わいのワインとなります。


春から秋にかけてのブドウの成熟期の気候条件が良く、質の良いブドウが収穫できた年は、「グレートヴィンテージ」あるいは「当たり年」などと言われます。そしてその年のワインの価格は上昇します。

 

 

グレートヴィンテージのワインはそんなに良いのでしょうか?

逆に、「難しかった年」のワインは美味しくないのでしょうか?

いえいえ、そんなことはありません。

難しかった年のワインのほうが、香り高く、味わいも柔らかく優雅さがあり、お料理とも合わせやすいものが多かったりします。そして価格もお手頃です。

反対にグレートヴィンテージワインのワインは、味わいは力強く凝縮感があり、香りも開きにくく、そのワインの本来の良さを発揮するまでに時間がかかることが多いです。
ある程度の熟成期間が必要であり、開け時を間違えると、「美味しくなかった・・・」なんて残念な印象のまま終わってしまうこともあるのです。逆の言い方をすれば、熟成が楽しみなワインです。

「ヴィンテージチャート」というものがあります。
年別、地域別にワインを評価した表で、その年のブドウの出来と、評論家などの意見をもとに作成されたものです。
参考にできるものですが、100%鵜呑みにもできません。
ワイン産地はいわゆる丘陵地ですから土地は起伏に富んでいて、同じ地方であっても、畑の位置関係、どの方角を向いているか、山や川、湖、海との位置関係、土壌分布、そして栽培されているブドウ品種、栽培方法など、一つとして全く同じにはならないからです。そして最終的には人の手が加わります。気候に恵まれなかった年でも、たゆまぬ努力により、素晴らしいワインを造り上げる生産者も多くいます。

ブドウは農作物であり、ワインは、私たち人間だけが享受できる大地からの贈り物です。
毎年の天候が違えば、当然ブドウの出来も変化します。
しかし、その評価だけに踊らされるのは残念な気がします。豊作の年も不作だった年も、自然の恵みと生産者の努力に感謝して、その年だけの味わいを楽しみたいものです。